昨年の夏の朝、ミネアポリスの自宅で洗濯をしていたマーネット・ゴードンに、36歳になる息子から電話がかかってきた。
彼女は、息子のテリー・ブレアが、よく給油や軽食を買いに行く、通り沿いのガソリンスタンドでソーダが欲しいかどうか確認しているのだろうと思った。
「ママ、僕、撃たれたんだ。”警察を呼んで!”
マーネットともう一人の息子タマルカスと12歳の娘は、市の北側にある自宅からガソリンスタンドに駆けつけたが、この地域は昔から凶悪犯罪が多発している地域である。
ブレアさんの家族は、警察や救急隊員より数分早く、彼の青い1986年製シボレー・カプリスを5番の給油口で発見したのだが、彼は胸の複数の銃創から出血し、車の中でぐったりしていた。オレンジ色のパーカーを着た17歳の男が、ブレアの車に拳銃で9発撃ち込んでから走り去ったのだ。
ガソリンスタンドにいたスクラブ姿の非番の看護婦が止血を試みる中、心臓移植を受けたマーネットは見かねたのか、離れた場所に立っていた。テリーは彼女の世話係だった。