冷水に溶かしたインスタントコーヒーに甘いシロップを混ぜ、水筒に入れ仕事に行っていた母の余った甘いアイスコーヒーをもらえるのが私は楽しみでした。
私がコーヒーを飲み始めたそんな子どもの頃、自宅や職場周辺にコンビニがなく、自動販売機が設置されるまで、飲み物は持参していました。
そんな環境だった当時、近所の人と集まりがあると、何か食べ物を持参するのが当たり前でした。
暑い時期、母は自家製の果物と、お酢のドリンクか、いただき物のコーヒーを振舞っていました。
贈答品のコーヒー豆をひく器具がないことや、「ゆっくりお湯を注いでいられない」と母が言い、飲まずに賞味期限が切れてしまうことがしばしばありました。
カフェインや利尿作用で夜眠れなくなったり、トイレが近くなったり、「困る」と言って母は飲み過ぎないようにしていました。
私が家庭を持った数十年後、主人や息子と一緒にコーヒーを飲むようになりました。
こだわりがそれほどある訳ではない中、購入方法や淹れ方は幅広くなり、私は、そのときの気分によって選んでいます。
自宅から車で10分ほどのところに比較的大きなショッピングモールがあります。
たくさん入っている店舗のうち、輸入食品を取り扱う店はどれにするか迷うほど、多くの種類のひく前のコーヒー豆があります。
「何を飲んでも同じじゃないの」と言う主人と息子は適当に選んで買ってしまうため任せられず、私は店の人とよく相談しながら、季節ごとのお勧めの味を選び購入します。
選んだその場でひいてくれるコーヒー豆を手渡されると、ほんのり温かくよい香りがします。
主人と息子は気づいていないようですが、夏はアイスコーヒー用を、冬は温かくても美味しいマイルドなコーヒーを購入しています。
鉄製のやかんでお湯を沸かし淹れたコーヒーは、角が取れたまろやかな美味しさがあります。
元来緑茶を好む日本人がコーヒーを飲み始めたのは、日本に西洋文化が入って来てからです。
あまり馴染みがなく、「コーヒーは体によくない」と言い、飲まない方がいましたが、研究が進んだ近年では「1000種類ほどの薬効成分が健康によい」とされています。
40代を過ぎると気になる糖尿病予防や、血行促進、脳の活性化などに効果があります。
ブラックで飲むと、コーヒー本来の味が楽しめるでしょう。